そのたくさんが愛のなか。5巻で完結! おっさんになって見える景色

あけましておめでとうございます。2019年もはじまりましたね。

12月は大学院の修士論文でいっぱいいっぱいになって、ブログを書く余裕がありませんでした。

論文は目処がついたので、ブログをまた書いていきたいですね。

おっさん達のひと夏の青春、5巻で完結!

𠮷田聡さんのマンガ、『そのたくさんが愛のなか。』ですが、5巻をもって完結しました。

56歳になったおっさん5人組が主人公の帰省をきっかけに再開し、青春時代を過ごした町でほんのちょっとだけど、青春の感触を取り戻していく、っていう感じの話だけど、5巻は駆け足で終わったというのが正直なところですね。

主人公とヒロインの過去についても詳細には描かれないし、作品中で描かれていない過去を許容するプロセスや葛藤も作中では表現されないんだけど、今年48歳のおっさん、ウサヘンとしては逆にそれがリアルに感じたりしますね。

歳とると色んなことが許せるようになるし、そんなもんだと思えるようになるんだね。

『純ブライド』と表裏一体の作品っていう印象

このマンガは𠮷田先生の大ヒット作、『湘南爆走族』と同じ時代に同じ場所で生きてきた主人公たちの話で、作中にも人気キャラ、権田二毛作が登場しているんだけど、物語そのものにはあまり絡んでいないこともあって作品としての関連性はあまり感じないんだよな。

どちらかというと主人公達の仕事がべんり屋ってことから『スローニン』の方を思い出すし(Tシャツのデザインも一緒だよね)、話としては『純ブライド』と裏表の関係のような感じがしたな。

『純ブライド』はヤングサンデーで1987年から連載していた作品で、単行本3巻が出ているんだけど、大人になりつつある主人公が現実の空気の冷たさに打ちひしがれる、tっていう感じで、ぶっちゃけた話ものすごく辛気臭い話なんだけど、当時高校生だったウサヘンには人事には思えず、一緒にず~んと落ち込んだりしていたんだよね。

でも、今当時のことを振り返るとそんな落ち込むようなドラマは客観的に見て自分の身には起こってなかったよな、と思うし(主観的にはおこっていたんだろうけど)、当時27歳くらいだったはずの吉田先生もそんな風に思っていて現実に主観的には打ちひしがれれることもあったんだと思います。

『純ブライド』の主人公達は打ちひしがれてはいるけれど、まだまだ若いし、本人たちは気が付いていないかもしれないけど可能性がものすご~く残されている

で、『そのたくさんが愛のなか。』の場合は主人公達はもう60歳が視野に入ってきているし、やればできるよ!と無責任なことは言えないだけの経験をしてきている。

置かれた立場でいえば『純ブライド』よりも『そのたくさんが愛のなか。』の方が客観的にはキツい状況と言ってもいい。

だけど、作風はその逆で『そのたくさんが愛のなか。』は軽やかだ。

歳をとって、感受性が鈍って、色々なことがぼんやりした結果軽やかなわけじゃなく、今までの自分の行動を受け入れて、後悔したりもするけど納得はしていて、でも残った材料でなんとかやるしかないよね、というある種の開き直りから来る軽さなのかな?と思ったりします。

夏の後にも人生は続くよ

マンガは夏で終わって、5巻で終わったわけだけど、エンドロールの後も彼らの人生は続くし、どこまでこの軽やかさが続くのかはわからない。

でも、このマンガを読んだウサヘンにも頑張ろう、チャレンジしないとだめだね、と思わせるパワーがありました。俺も軽やかに生きていこう、と思いました。

というのがこのマンガを読んだおっさんの感想で、ウサヘンを含むおっさんは同じような感想になるんじゃないか、と思うんだけど、現実に触れてヒリヒリしている『純ブライド』な若い子たちはどんな感想になるのかな?

ちょっと興味がありますね。