Amazonオリジナル”The Boys”は黒い”TIGER & BUNNY”だ!

こんにちは。

普段はあまりドラマを見ない私ですが、時々洋ドラにハマったりします。

去年は”SUITS"と”シリコンバレー”ですかね、どちらも最後まで見ました。

今年になって面白かったのがAmazonオリジナルの洋ドラ、”The Boys"です。

The Boysってどんな話?

この”The Boys"、スーパーヒーローが実在し、民間自警団としてヴォート社が彼らをマネジメント、世界の平和を有料で守っているという世界のお話。

ヒーローたちはそれぞれを主役にした映画やCM、商品等からの収入を得ていて、文字通りのヒーローとして世間から認知されている。

たくさんのヒーローの中のトップに君臨する7人のスーパーヒーロー達・セブンの面々は一見正義を地でいく存在だけど、蓋を開けてみれば下品で下衆、というところで話が始まります。

そんなセブンのメンバーの1人、Aトレインに彼女を粉殺された主人公・ヒューイは行きがかり上スーパーヒーローに恨みを持つブッチャー他、チンピラのような”The Boys”に加入し、スーパーヒーロー達の不正を暴き、復讐をすることになります

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Homelander might see through walls, but he won’t see us coming. #TheBoysTV

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アヴェンジャーズじゃなくてTIGER&BUNNYだろ?

こんな感じで始まる”The Boys”ですが、Amazonオリジナルのドラマ作品として過去最高の再生回数になったということで、評論しているサイトもたくさんありますね。

そういうサイトで引き合いに出されているのが”アヴェンジャーズ”。

マーベルコミックスのヒーロー達が一同に会して大暴れ、世界を救うっていう一連のアレですね。

実は私はアヴェンジャーズシリーズを全然見ていないので、なんとなくの話になってしまいますが、スーパーヒーローが実在しているという世界観だけでアヴェンジャーズのブラックなパロディ作品、というような批評が多いのに驚きました。

いや、世界観が最も近いのは”TIGER & BUNNY”でしょ?

TIGER & BUNNYは2011年にサンライズが制作したアニメ作品で、こんな感じのお話でした。

個性豊かな特殊能力者「NEXT」がヒーローとして平和を守っている近未来的な街を舞台に、落ち目のベテランヒーロー・ワイルドタイガーこと鏑木・T・虎徹と、生意気なスーパールーキー・バーナビー・ブルックスJr.のコンビが、他のヒーローたちと共に活躍する姿を描いた「バディもの」のアニメ作品。作中におけるヒーローたちは、すべてスポンサーの援助を受けてヒーローとして活躍しているという設定に基づき、放送以前から実際に各企業向けにヒーローたちのスポンサーを募集するという商業展開が行われている[3]。また、プロダクトプレイスメント以外にもテレビ本放送時には、毎回各キャラクターにちなんだタイアップCMが放送された。劇場版ではスポンサーをプレイスメントとしている。

作中ではヒーロー達が悪人を逮捕する一部始終を放送する「ヒーローTV」というTV番組が放送されていて、ヒーロー達は逮捕時の活躍に応じてヒーローポイントを獲得、年間ランキングを競っていてなおかつランキングもされている、という設定になっていました。

かなり面白いのでAmazon Primeで見てくださいね。

TIGER&BUNNY”に出てくるヒーロー達は企業のスポンサードを受けているものの、あくまでもヒーローとしてふさわしい正義感や倫理観を持っていましたね。

このヒーローとしての正義感、倫理観はしっかり持っている、という点はアヴェンジャーズも同じでしょう、たぶん。見てないけど

ここが決定的に違うのが”The Boys”に出てくるヒーロー達で、なんていうか、普通の人間と同じメンタリティなんだな。

ヒーローとして考えるとどうかな、と思うけど、まあ一般人ならよくある話でしょ、という程度なんだけど、アヴェンジャーズ他、過去のヒーローものから連想されるヒーロー像と比較するとかなり乖離があるので、ものすごく下衆に見える、という感じですね。

持ってるヒーロー達と持たざる”The Boys"の戦い

ストーリーは前述した通り、スーパーヒーローの1人の過失で恋人を失ったヒューイとその他の面々がヒーロー達に立ち向かうという話ですが、これについて『悪いスーパーヒーローに立ち向かう一般人の勧善懲悪の物語』と紹介しているサイトがあったんですが、全然そんな話じゃないです。

ヒーロー達もどうかしちゃってるけれど、同じくらい"The Boys"も道を踏み外しているし、彼らにどんな大義があるのかはしばらくはわかりません。

少なくとも主人公・ヒューイは正義感で”The Boys”に参加したわけでもヒーローの不正を暴くというような大それた考えもなかったですしね。

”The Boys”のメンバーは皆揃いもそろって薄汚れた社会的落伍者のような感じで、ヒーロー達に対して追いすがるようにみっともなく、ドロドロとしたやり方で問題の核心に迫っていくのですが、爽快感のかけらもありません

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The new name of the game. #TheBoysTV

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ね、ギャングかチンピラか、っていう感じでしょ?

ヒーロー達も色々あるんだな・・・

なんとなく、”The Boys”に共感しそう、と思うかもしれませんが、そんな感じにはならないのがこのお話。

内面に関する描写は”The Boys”のメンバーよりもヒーロー達の方が多く、ヒーローって大変だな、性格も歪むよ、とどちらかというとヒーロー達が不憫に思えてくるようなお話です。

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Even the shiniest porcelain thrones can still be full of sh*t. #TheBoysTV

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スーパーマンキャプテンアメリカを足して2で割ったようなヒーローの頂点に君臨するホームランダーは張り付いたような笑顔が印象的ですが、その笑顔とは裏腹に人一倍濃い闇を持っています。

「セブン」に新しく加入した女の子、スターライトは母子家庭で育ち、小さい頃からヒーローになるべく母親から厳しい訓練を課せられ、やっとのことでセブンに入ったら穿先輩ヒーローにセクハラされます

中央がホームランダー、左端がスターライトね。

アメリカのアメリカに対するセルフパロディ

アヴェンジャーズ他に対するブラックコメディとして紹介されることの多いこの”The Boys”ですが、どちらかというとアメリカという国家に対するパロディなんじゃないかな?

ホームランダーはアメリカそのものを代表するような描かれ方をしているけど、軍の仕事をヒーロー達にやらせて大儲けしたいヴォート社の立場は軍事力で勝手に世界平和を守っている体のアメリカそのものなんじゃないか、と見てみた感想です。

シーズン1は”The Boys”の、というかリーダーのブッチャーの大義に関わるような謎を残して終わりましたが、シーズン2も楽しみです。

面白そう!と思った人はAmazon Primeの会員になってぜひご鑑賞ください!

The Boys シーズン1 第一話はここからです。